不快!と毛嫌いしないで!/ひびき

 

こんな記事を発見です!

 

「ため息」は人が自分を守る回復の試み

 

はあー、とため息をつくと、「ため息をつかないで!」と言われたり、「ため息をつくと幸せが逃げるよ」と言われたりすることがある。ため息は、疲れや困惑を吐き出しているように見えるので、見る人を不快にさせるのだろう。

 

でも、ため息は思わず出てしまうもの、ため息をつかないようにするのは難しい。そんなため息だが、呼吸を助けていることが最新の研究から分かってきた。実は、ため息は体には不可欠なものだったのだ。

 

ため息は呼吸を助ける

 

米カリフォルニア大学ロサンゼルス校とスタンフォード大学の研究チームは、ため息の生理学を探求して、いつどのようにため息をつくべきかを指示する脳神経を特定したと英科学誌Natureに発表した。

 

研究者らによると、ため息はただの感情のはけ口ではなく、体全体の健康維持のために不可欠なものだという(※1)。

 

気づかないだけ!

人は1時間に12回もため息をついている

 

気が付かないだけで、人はおよそ5分おきに、1時間に12回ほどため息をついている。ため息は通常の呼吸の2倍の量の空気を取り込めるため、肺の中の肺胞がしぼんで酸素が取り込めなくなるのを防ぐ役目を果たしている。

 

大げさに聞こえるかもしれないが、肺が正常に機能するためには、頻繁にため息をつく必要があるのだ。

 

なぜため息が出るの?

ため息が出るしくみ

 

研究はラットを使って行われたが、ラットの脳の神経細胞のうち、特定の2つの神経ペプチドがため息に関連していることが分かった。これらのペプチドは、呼吸に関わる別の神経細胞を刺激して、ため息を増やしており、ため息の制御回路の役割を果たしていた。

 

この発見により、特定の神経ペプチドがため息という特定の動作を制御していることが分かった。このことは、笑いや、あくび、咳(せき)や息切れなどを制御する固有のペプチドがある可能性も感じさせる。そしてそれぞれの神経ペプチドを特定できれば、さまざまな個別の病を治す手段が見つかるかもしれない。

 

例えば、パニック障害などは、過剰にため息をついてしまう。そんな人には、ため息を減らす薬ができれば効果があるかもしれない。逆に、呼吸を増やしたい人工呼吸患者に対してため息を増やす薬を作れる可能性があると、研究グループのクラズノー博士は述べている。

 

感情的なため息はなんのため

 

落ち込んだ時や疲れた時に出る感情的なため息のしくみについては、この研究では分かっていない(※2)。しかし、ため息は肺に多くの酸素を送り込み、脳を覚醒させる。そのため、ストレスや疲れから脳を守る役割がありそうに思える。

 

自律神経に関する研究で有名な順天堂大学教授の小林弘幸氏は、「深呼吸は副交感神経の働きを上げて、血流が増え、脳も活性化して気持ちが落ち着く。心配事や不安があると呼吸は止まっていることが多く、ため息をつくことで、自律神経がもとのよいバランスに戻ろうとする。」と述べている。

 

実際に測定すると、ため息をつく前に低下していた血流は見る見る回復し、普通の深呼吸より回復効果があるようだ。秘密は、呼吸の長さにある。深呼吸は吸う時間と吐く時間が同じ長さだが、ため息は吐くのに2倍の時間がかかり、腹式呼吸になりやすいのだ(※3)。

 

ため息は「自分で自分を回復させる」試み

 

吐くことを意識した深い呼吸は、副交感神経を刺激するので、ため息は呼吸法としてもおすすめだ。呼吸は自分で調節することができる、唯一の自律神経調整法のようだ。

 

そうすると、ため息はつまり自分を自分で回復させる方法といえる。ため息には後ろ向きのやる気がなさそうなイメージが付きまとうが、実はそうではない。自分を回復させようという試みなのだ。だからこれからは、好きなだけため息をついて、自分を回復させよう。ただし、できるだけ一人の時に。

 

なるほど、ため息にそんな効果があるとは…。

お化粧中などちょっとした時間に試してみようかと思います(*^^*)